気 ま ぐ れ 日 記   特別編 part3

salon d'Orange in the states

9〜13,may



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9.may  Sun

 朝はダニ−の家に行って朝食。彼女はなんだかいろいろな変てこな物体を所有している。不思議な読み方のLED時計。エクササイズの道具に、ウイットにとんだ啓発句が書いてあるカレンダー、それから日本刀や世界の刀とかナイフのコレクション、バイブレーターの手首の筋肉増強マシン。彼女はほんとにクールだ…。そしてアスレチック器具で常に身体を鍛えているらしい。どうりで腕っぷしがいいなぁと思ったよ。彼女の生き方の姿勢や諸処の楽しみ方には学ぶべきものがあるね。彼女の結婚式がユニークでぜひぜひ参考にすると楽しいのだけど、その名もパイレーツ・ウェディング

 彼女が心理学を教える大学を見学しつつドライブ、リンキン・パークなどのメロコア及びビート・メタル系が好みらしく、いろいろ聴かせてもらった。知らないバンドが多い。ニホンでは知られてるのかな?知ってるのはダフト・パンクくらいだった。

 ホテルまで送ってもらった後は、ひとりでCD屋さんに行き、一応地元出身の記念にプリンスのCDを買ってそれを聴きながら、ストリートを散策。新聞をテーマにしたお店のオープン・テラスで、チリトマトのスープとオレンジ・ジュースでランチ。美味しい。天気もとてもいい。道には大道芸人がいたりして、ほのぼのした感じの日曜日のダウンタウン。道行く人を眺めたり、街並をぼ〜っと眺めた。目の前には雰囲気のいい古本屋さんがある。

 その後、僕らは次の街、シャコピーに移動して新しい滞在先の家へ。今度は老年の医師ドンとジョアンの家。向かいには広大な敷地と池があって遠くには農場が見える。夕方にはそこで全員でバーベキュー・パーティーをした。人が集まってきてビールを飲んでワイン。Yのステイ先の病院経営者の家族の少女姉妹とお話して遊んだ。妹の方はとてもシャイ。お姉ちゃんはしっかりしていて、話しかけるとにこっ〜、と微笑んでくれる。あぁ、なんて可愛い。。ほんとに空想から飛び出たような可愛さだもんね。

 夜半に少し天気がくずれて雹が降ってきた。

 雹の氷の大きさが凄く大きくて、小石のようなアイスの塊がおちてくる。夜はドンとブランデーを飲みながら語った。

 僕の部屋はもう嫁がれている娘さんの部屋。調度品はそのままにしてある。本棚にはカフカなどが並んでいた。僕は今日は早めに就寝。12時間くらい寝た。







10.may  Mon

 朝は軽くフルーツを食べて、迎えの元制作プロデューサーの女性が来訪。彼女の紹介でミネアポリスにある制作プロダクションを訪れることに。時間が少し早かったのでスタバでコーヒーを飲んで歓談した。彼女はストーンズのファンらしい。御主人はジュリアード出のブロードキャスター。知的な感じの女性だ。

 彼女の息子は僕と同じ世代で、キッスが好きだっだという話しで2人で大爆笑。自分は仕事の終わったオフィスでストーンズをひとりで聴くのが好きだったらしい。彼女とそんな話しをしてると、近くの席でノートPCで仕事をしてたおっさんも話しに絡んで来て、自分の働くのはこちらのニホン企業法人で、、などとやいのやいのと話しを盛りあげている。

 ところでこちらのスタバのトイレは鍵をレジで借りて入るシステムになってる。防犯対策かな?

 で、ダウンタウンのど真ん中にあるオフィス・ビルにあるモダン・ミュージックという主にCM関係の仕事をしているプロダクションに行った。スタジオやオフィスの機材関係をひととおり見せて貰って、システムに関する知識を交換。見た事の無いシーケンス・ソフトがあったのでばっちりとチェック。僕のCDもプレゼントして、よろしくにゃん、と言っておいた。シゴト、シゴト。。

 その後、彼女のベンツに乗ってスカルプチャーの沢山ある公園を2人で歩いた。木立の日陰にある『浄化剤』という作品が僕は気に入った。イサム・ノグチなんかの作品もある。
 

 そして僕らはアップタウンに行って、まずはタイ・レストランでビールを飲みつつトムヤンクンとカレー焼飯を食べた。激激旨い!!。辛いアジア料理に餓えていたせいもあり、死ぬ程旨かった。山口でも美味しいトムヤンクンが食べれず禁断症状にあったのが、こんな場所で巡りあえるとは。。彼女と食事をしながらいろいろだべってから、しばらくアップタウンを2人で歩いた。ニホンで言うなら、下北の様な感じの場所。カウンターカルチャーの発信地という感じの街。ワカモノが多いし、そういう店ばかりが並ぶ。僕はニューエイジ系の雑貨屋さんでケルトのネックレスを買った。

 そして僕らはドライブして、プリンスのペイズリーパークを外から眺めた。わりと大きい。ここはプライベートだから中に入るな、との注意書きがでかでかとある。彼女はプリンスの家のわりと近くで、マスコミは知らないけれど、彼は結婚した後、3人の子供ができてそのうちの1人を亡くしてしまったらしい。それで落ち込んでごく普通の、街の教会にず〜と出入りしてたらしい。それで人生観が少し変化したそうな。。それが活動休止中のプリンスだったのね…。『誰も知らないけど、私は知ってるわ。』と彼女。

 ペイズリーパークにお別れしてカエターノを聴きながら僕らはドライブ。ん〜良い感じ。。なんか恋人とデートしてるみたいだ。で、僕らはminnetonkaという高級リゾート地の様な湖畔の街に行った。まるで湘南周辺の様な雰囲気。ボート波止場があったり高級住宅街が山手にある。彼女は以前にこのあたりに住んでいたらしい。いいなぁ…。

 帰宅してから今日も早めに寝た。疲れをとるのは寝るに限る。







11.may  Tue

 朝はステイ先の奥さんのジョアンの務める福祉関連施設を見学。移民問題の最先端を見た。貧しい母子家庭などの大半は移民の人。食料の無料配付や古着服を100円くらいで売っていて、職業斡旋や相談をしている。半分は政府のお金で運営されているらしいが、私設の法人らしい。彼等がこういう部分に力を入れるのは、そもそも彼等は皆、移民の民だからだ。3、4世代前の御先祖は、大かれ少なかれ同じ状態だったのだから。。

 いろいろな家庭で、そのバックグラウンドを聞いたけれど、建国後に移民で来た人達がほとんどで、驚くのは皆、16歳とかそれくらいの若さでこちらに来たらしい。ヨーロッパの閉鎖社会からそれこそ口べらしの様な感じで、こちらに来たのではないだろうか。アメリカの本当のバック・グラウンドは西部開拓などよりも、たぶんそこにあると思った。そんな事をつらつら考えながら、倉庫に並んでいる食料群を眺めて、僕の頭にはいろいろなイメージやストーリーが膨らんだ…。エントランスに、お母さんに連れられた小さな子供がいる。あの子は何処に行くのだろう…。

 僕らはそこから移動して、レストランの会場で食後にライブ・プレゼン。弦も替えたしギターの調子は今日は最高。だから今日は弾きまくったぞ〜。反応も最高だった。クラブの担当役員の方は、前の大きなイベント時よりも良い内容だったとの、お誉めの言葉。

 午後はネイティブ・インディアンのコミュティーを見学。歴史館でヒストリーのビデオを観てからジュエリー・ショップで買い込んだ。安くて凄くものがいい。渋谷あたりでこれを買うと4、5倍の値段になっている物である。超ナイスな買い物。彼等は半ば独立国家の様に本当にコミューン化していて、水からセキュリティーいたる全てを自給自足している。いろいろな部族がいて、彼等は非常に恵まれているのだけど、それは収入源をカジノで儲けているから。国法としてはニホンと同じくギャンブルやカジノは禁止なのだけど、特別な権利を政府が彼等に与えている訳だ。裏を返せば、彼等はいち早くアメリカ国家に寝返った部族とも言える。そうでは無い部族は今も悲惨な生活を余儀なくされているのだから…。

 で、カジノの奥のルームで食事をしていたら部族のナンバー2のおっさんがやって来た。一緒に食事をして彼の家に行くと、でかい家の中にはインディアンの部族を象徴するジュエリーと並んで、歴代大統領との写真などが仰々しく飾ってある。しかもホワイトハウスの大統領室のフェイクまで造ってあるから、なんとも…。宮尾すすむのにっぽんの社長に登場しそうな悪趣味さだ。僕はブッシュの等身大写真に殴る真似をして、記念写真。ピース!!

 夜は夜空を眺めてブランデーを飲んで寝た。






13.may  Thu

 朝から次の街、リッチフィールドに移動。僕らと同じ風にヨルダンを回ったグラダが世話をしてくれた。彼女はテンションがすごい。長野オリンピックに親戚が出てニホンにも来たらしい。極寒の長野の夜に、タクシーを捕まえてガイド本のニホン語を喋りながら移動した話しをしててバカ受け。もうひとり凄いオモシロイお婆さまが居て、2人揃うとアメリカのコメディそのものに成るので爆笑しまくった。

 昼には全米最大のモールというモール・オブ・アメリカに行き、ニホンにあるお店でパスタを食べた後、フリー行動なので、僕はひとりで映画を観た。『ジョンソン・ファミリー・ヴァケーション』という黒人系超3流コメディを寝ながら観て、フロアで懐かしのギャラガをした。スコアは113830。それでも時間があるので『キルビル2』を少し観た。あぁ、こっち観れば良かった。幕間のBGMになんか演歌が流れてるんですけど…。

 それから僕らはミネアポリスのメトロドームに行き、今日はトゥインズとマリナーズのカードを観戦。イチローに興味津々。中田が非ニホン的戦後ニホンの象徴ならば、イチローはもろに日本的な戦後ニホンの象徴だと思う。彼等はスポーツ選手以上に思想の体現者なのだ。彼等の特異な発言がそれを語っている。イチローはまるでソニーのヴァイオみたいな奴だと思った。

 で、1回表に一番打者のイチローがさっそく登場。初球をいきなり流し打ちでヒット。2打席目もいきなり初球打ちでヒット。なんかめちゃくちゃかっこいい。イチローひとりヨーロピアンな雰囲気を漂わせている。彼がダイヤモンドに立つと、ダイヤモンドが小さく見えた。それくらい足が速い。。でもマリナーズは成績は振るわず。外野のイチロー側にはニホン人の女の子のイチロー応援団とか居た。

 僕とTは双眼鏡で、客席を眺めて、あ、あの子可愛い!とかやって遊んでると、グラダがそれに気ずいて『ちょいと、あんたら、な〜に観てるの!!』などと叫んだりしてまた爆笑。

  家に帰って、ホストのジムとジニ−が以前にやってたバンドのデモを聴いた。ドゥ−ビーブラザーズの曲とかね。『うぉう うぉ〜 せくし〜 みゅ〜じっく』とか。こういの僕の好みでは決して無いのに、これがこちらの風土で聴くとえら〜〜く気持ちいいんだな、これが。。彼はミュージカルのアレンジや指揮をしてる人。僕のCDもあげた。『ひとりで創ったのか?』と言って溜息をついて驚いてた。。






13.may  Thu

 今日は珍しく雨。なんと早朝からライブ・プレゼン。たぶん今日が最後。ロバート・ジョンソンを弾いたら黒人のおじさんが凄く喜んでいる。後で知ったのだけど、彼は小学校の先生で、な、なんと!!!プリンスの小学校時代の先生なのだ!!!!。驚き。。。地元とは言え、そんな偶然そうは無いよ…。小学生のプリンスは小柄だし女の子にもてるでも無く、寡黙でその当時から音楽一筋の少年だったらしい。。

 異常に寒い中、プリンスの先生達と凄く大きなカソリックの教会を見学。さすがカソリック。パイプ・オルガンをず〜っと演奏してる人が居た。自動演奏では無いところが凄い。

 更に州政府で議会場や法廷を見学したりして、歴史博物館でプリンスの紫の衣裳を眺めたりした。この手のものには既に食傷気味だし寒くて疲れたので、帰って昼寝してから、夕方に中華レストランで久しぶりに漬け物と御飯を食べた。ニホン好きの青年が日本語を喋りながらサーブしてくれた。彼はニホンのゲーム・マニアで秋葉に2回行って凄く楽しかったと語っている。クールだ。

 その後、ジムとゴスペルやビートルズを一緒に演奏して遊んでから、ミネアポリスのダウンタウンのdakotaというジャズクラブに行ってキューバン・ジャズ、NACHITO HERRERA というピアニストのピアノ・トリオを聴いた。激当たりのライブでとても素晴らしい。キューバンってところが味噌ですな。バックのベースもドラムもこちらのミュージシャンだけど、凄くいいプレイをしている。ピアノの彼はチック・コリアのウィンドウズとかを超速弾きでプレイしてた。タッチやタイム感が流石にキューバ人特有で、かなりつっこんで弾くタイプ。これが決まるとかっこいい。途中で『僕ら、毎日同じのやると、飽きちゃうんで今日は少し違う感じで‥』という紹介でマイ・ファニー・ヴァレンタインを地元の女性ヴォーカリストが歌った。

 旨い白ワインを飲みながら久々にグッドな生系ジャズに酔いしれた。この上質な内容でライブ・チャージは10ドルだから約1000円。ワインも一杯600円くらい。同じ内容を東京で観るとこれが1万円くらいだものね‥。俺等の国はなんでも高過ぎだよなぁ。はぁぁ。その甘い汁を誰が吸ってるのかと言ったら無能な政治家と、興行ではyaくザとかだからね。銃社会にでもして自分の身は自分で守る体制にしつつ、そういう全てをぶち壊すと面白いだろうなぁ、と思った。馬鹿にくれてやる餌を用意する弱い市民なんて、俺は嫌だからさ。。



<指揮者ジムの落書き>                ジムだよ〜ん  



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